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病気やけがによる休職期間満了時の退職(又は解雇)

休職制度は、従業員が一定の事由により就業することが不能、又は適当でないと判断されたときに、使用者がその従業員に対して、労働契約関係は維持させながら、一定期間就業を免除又は禁止する制度です。

会社として休職制度を設けるかどうかは法律による規制はなく自由ですが、休職制度を設ける場合は、就業規則や労働協約等において規定します。

休職となる事由については、私傷病による休職、出向のための業務休職、組合専従期間中の休職、その他の自己都合休職などがありますが、中でも退職や解雇の問題と関係してくるのは私傷病による休職の場合です。

icon 私傷病による休職
私傷病休職とは、私的なけがや病気が原因で働くことができず、一定期間欠勤や不完全な就業状態が続いたときに、就業規則等により一定期間就業を免除し休職とするもので、休職期間が満了するまでに治癒すれば復職となりますが、休職期間満了の時点で治癒していなければ、原則として労働契約は消滅します。

休職期間満了の時点で治癒していない場合の労働契約の消滅のしかたには、退職の場合と解雇の場合の両方が考えられますが、それはその会社の就業規則等の定め方によります。

なお、解雇の場合は、解雇予告や解雇予告手当支払いによる解雇手続きが必要となりますし、解雇権濫用の問題等が出てくる可能性があることから、退職扱いとしている会社が多いようです。

icon 復職の可否を判断する際の「治癒」とは、どういう状態をいうのか?
過去の判例において、「治癒」とは、原則として「従前の職務を通常の程度行える健康状態に復したときをいい、未だそのような状態にまで回復していないときは、復職は権利として認められない。」(平仙レース事件 S46.12.16ほか)とするもの、また「病気休職期間満了時に労働者が復職を申し出た場合に、当初は原職以外の他の軽作業を行わせながら、徐々に通常業務に服させていくことが可能であるならば、会社はその点を考慮すべきである。」(エール・フランス事件 
S59.1.27)とする判例もあります。

実務的には、両者の判断を念頭に置いて、慎重に対応することが求められます。

icon 休職、復職等の判断は誰がするのか?
休職、復職等の判断は会社が行うものです。会社は労働契約の一方の当事者であり、従業員に対して指揮命令権、人事権等を有し、日常の業務内容について一番把握しているからです。

ただし、判断にあたっては、本人の診断書や面談による状況の確認、主治医や産業医等の意見が必要になるでしょう。

icon 私傷病による欠勤・休職期間中(又は退職後)の補償
(1)健康保険法に基づき、本人の請求により傷病手当金が支給されます。

①支給額
1日当りの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日 × 2/3

(注)標準報酬月額とは、事業主から受ける報酬をいくつかの幅(等級)に区分した仮の報酬額をいいます。

②支給期間
私傷病により休んだ期間のうち、最初の連続した3日間を除き(これを待機といいます。)4日目から支給され、支給を開始した日から1年6か月間支給されます。

③支給調整
会社から給料を受けている場合や、同一の傷病により、国民年金や厚生年金保険の障害年金(障害基礎年金や障害厚生年金)等を受けている場合などは、支給調整(全く支給されないか、又は差額支給)されます。

④退職後の支給
資格を喪失する日の前日(退職日)までに継続して1年以上被保険者であった人は、資格を喪失した際に現に受けていた、あるいは受けれるような状態にあったときは、残りの期間について引き続き傷病手当金を受けることがきます。

(2)障害年金等の支給
病気やけがもとで、障害認定日(原則は初診日から1年6か月が経過した日ですが、その前に治癒又は症状が固定した場合はその日)において一定の障害状態にあるときには、国民年金法や厚生年金保険法に基づき、本人の請求により障害年金(障害基礎年金や障害厚生年金)等が支給されます。

障害年金というと、一般には肢体のイメージを持っている人が多いようですが、法律に定める障害の程度に該当すれば、うつ病等の精神障害やがん、糖尿病、人工透析など様々な病気やけがが対象となります。

icon 業務上の傷病による休職
休職の事由が、私傷病ではなく業務上の傷病を理由とする場合には、会社は、労基法第19条により療養のために休業する期間とその後の30日間は、解雇することはできません。

この点が私傷病休職の場合と異なる点ですが、療養開始後3年を経過しても傷病がなおらない場合に、会社が平均賃金の1200日分の打切補償を支払った場合(労基法第81条)、又は、休職者が、療養開始後3年を経過した日において労災保険法による傷病補償年金を受けている場合にはその日において、また療養開始後3年を経過した日より後に傷病補償年金を受けることとなった場合にはその受けることとなった日においては、打切補償を支払ったものとみなされ、解雇することが可能となります。(労災保険法第19条)

なお、休職の事由が通勤途上の傷病を理由とする場合には、このような解雇禁止規定の適用はありません。

icon 業務上(又は通勤途上)の傷病による休職期間中(又は退職後)の補償
労災保険法による休業補償給付(通勤途上の場合は休業給付)が本人の請求により支給されます。

①支給額
1日につき、給付基礎日額の6割に相当する額と2割に相当する額が特別支給金として支給されます。

②支給期間
負傷、疾病により休んだ期間のうち、最初の3日を除き(これを待機といい、3日については必ずしも連続している必要はありません。)4日目から支給され、期間は定められていません。

なお、業務上の場合、最初の3日間については会社が労基法に基づく休業補償として1日当たり平均賃金の6割に相当する額を支払わなければなりません。

③支給調整
次に該当する場合は、支給額が調整されます。
(a)会社から平均賃金の6割以上の額が支給される場合は、全く支給されません。
(b)同一の負傷、疾病により、障害年金(障害基礎年金や障害厚生年金)を受けている場合

④傷病補償年金等の支給
療養の開始後1年6か月経過後、傷病補償年金(傷病年金)の受給要件に該当する場合には傷病補償年金(傷病年金)が支給され、以後、休業補償給付(休業給付)は支給されません。

⑤退職後の支給
退職後も支給されます。

icon うつ病等の気分障害による休職
近年、うつ病等の気分障害により休職するケースが増えています。うつ病等の気分障害を引き起こす原因には、業務以外のプライベートな要因のほか、職場における加重労働やパワーハラスメント、セクシュアルハラスメントなどがその原因となっている場合があります。

うつ病等の気分障害が業務上にあたるか否かを判断するには、厚生労働省から出ている『心理的負荷による精神障害の認定基準』により行うことになっております。

icon 心理的負荷による精神障害の認定基準の概要
一般に労働者が発病する精神障害は、事故や災害の体験(業務上)、仕事の失敗、過重な責任の発生などの業務による心理的負荷、自分・家族の出来事、金銭関係など、私生活での出来事等の業務以外の心理的負荷、また精神障害の既往歴等の個体側要因などが複雑に関連して発症します。

そこで、以下の3つの要件をすべて満たす場合には、業務上と認定されます。

①国際疾病分類であるICD-10の第Ⅴ章「精神及び行動の傷害」(下表)に分類される精神障害を発病していること

ICD-10第Ⅴ章「精神及び行動の傷害」

F0 症状性を含む器質性精神障害
F1 精神作用物質使用による精神及び行動の障害
F2 統合失調症、統合失調型障害及び妄想性障害
F3 気分(感情)障害
F4 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
F5 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
F6 成人のパーソナリティ及び行動の障害
F7 精神遅滞(知的障害)
F8 心理的発達の障害
F9 小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害、特定不能の精神
        障害

②当該精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること(ただし、パワハラやセクハラのようにその出来事が繰り返されるようなものについては 、発病前の6か月よりも前にはじまり、発病まで継続していたときには、それが始まった時点からの心理的負荷を評価します。)

③業務以外の心理的負荷及び個体側要因により発病したとは認められないこと

詳しくは、以下のリーフレットに説明されていますので、ご参照ください。

→精神障害の労災認定(厚生労働省)




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