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退職(解雇)時の事務手続き

退職や解雇などによって雇用関係が終了する場合には、使用者、労働者とも各種の事務手続きを行うことが必要となります。

例えば労働者の方からは、後任者への事務の引継ぎ、健康保険被保険者証や社員証、その他保管物品等の返還、使用者側からは賃金や退職金の支払い、貯蓄金の返還、雇用保険被保険者離職票の交付などがあります。

1.金品等の返還(労基法第23条)
労基法では、労働者が退職や死亡の際に、「権利者の請求があった場合には、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。」と規定されています。

ここでいう権利者とは退職者本人を指し、亡くなった場合は相続人を指します。

支払いの時期は、権利者から請求があった場合には7日以内ということです。

退職金など、就業規則(退職金規程)等にあらかじめその支払い時期が定められているものは、その時期に支払えば足りるとされています。

また賃金や金品の返還に際して、労使間に争いがある場合には、異議のない部分について7日以内に支払い、又は返還しなければならないこととされています。

2.退職時の証明書(労基法第22条)
労基法では、労働者が退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(解雇の場合には、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない旨規定されています。

また解雇の予告がされた日から解雇日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合にも、遅滞なくこれを交付しなければなりません。

3.解雇予告手当(労基法第20条)
解雇予告手当は、解雇しようとする日の30日以上前に解雇の予告を行う場合には必要ありませんが、そうでない場合には(一部の例外を除いて)支払いが必要になってくるものです。

解雇予告手当の支払いの時期ですが、解雇通知の後でもよいのかどうか学説上は争いのあるところですが、行政解釈では「解雇の申渡しと同時に支払うべきもの」とされています。

なお、解雇予告手当は、所得税法上退職所得とされていますので、退職金と同様「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらうようにすることが必要です。

4.雇用保険被保険者離職票(雇用保険法施行規則第7条)
雇用保険は、労働者が失業した場合などに必要な給付等を行うことを目的として、労働者を1人でも雇用した場合には、一部の人、例えば週の労働時間が20時間未満の人などを除いて必ず加入しなければならない公的保険です。

雇用保険被保険者離職票とは、離職後求職活動の期間中、失業給付を受けるために必要となるもので、会社は被保険者が退職や解雇などによって離職した場合に、離職者本人が「離職票はいらない」旨の申し出をしない限り、必ず発行しなければならないことになっています。

ただし、事業所が雇用保険に加入しなければならないのに加入していなかった場合には、離職票の発行ができないことになってしまいますが、その場合には、ハローワークに相談して会社に対し雇用保険の加入を働きかけてもらうことも可能です。

5.退職金
退職金制度は多くの企業で導入されていますが、元来福利厚生制度として始まったもので、法律的に必ず設けなければならないものではありません。

ただし、労働協約や就業規則(退職金規程)等で退職金の支払条件等について定めた場合には、後払いの賃金とみなされ、退職金の支払いが労働契約上の義務となります。

また、退職金の支払いについて、労働協約や就業規則(退職金規程)等で定められていない場合であっても、退職金の支払いが事実たる慣習として成立していると認められる場合には、支払い義務が生ずるとされています。

→退職金の支給/減額・不支給

6.退職所得の源泉徴収票・特別徴収票
退職者に対して退職金を支給した場合には、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を作成し、退職後1か月以内に本人、及び税務署・市町村に提出しなければなりません。(税務署は、翌年の1月末日まででも可)

なお、税務署と市町村に提出しなければならないのは、会社、その他の法人の取締役、監査役等の役職にある人の分だけです。

死亡退職による退職金については、「退職手当金等受給者別支払調書」を提出することになっています。

7.給与所得の源泉徴収票
年の途中で退職した人については、その年の1月から退職時までの給与の支給状況などを記載した「給与所得の源泉徴収票」を作成し、退職後1か月以内に本人、及び税務署に提出しなければなりません。(税務署は提出する範囲の人が決められており、期限は翌年の1月末日まででも可)

8.住民税
在職中、給与から住民税が控除されていた人(「特別徴収」といいます。)の場合には、退職月日によって次のような取り扱いになります。

①1月1日から4月30日までに退職した場合
   5月分までの残りの税額を給与又は退職金から一括徴収し、事業所が翌月10日    までに納付します。

②5月1日から5月31日までに退職した場合
   最終回分の5月分を徴収し、翌月の10日までに事業所が納付します。

③6月1日から12月31日までに退職した場合
(イ)特別徴収の継続
 すでに再就職先が決まっており、退職者から再就職先で特別徴収を継続したい旨
 の申し出などがあれば、事業所は「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を
 再就職先へ回付することによって継続することができます。
(ロ)一括徴収
 退職者から一括徴収の申し出があれば、事業所が残りの税額を給与又は退職金か
 ら一括徴収し、翌月10日までに納付します。
(ハ)普通徴収
(イ)、(ロ)に該当しなければ退職者が退職後、納税通知書により直接納付す
 ることになります。(「普通徴収」といいます。)

icon 死亡退職の場合の給付手続き(労働・社会保険)
在職中に死亡退職した場合には、労働・社会保険で次のような給付手続きが発生します。請求手続きは、通常、遺族から会社経由で行います。

(会社勤務の場合の主なもの)
○埋葬料(費)
支給対象者・・・被保険者によって生計を維持されていた者で埋葬を行う者(埋葬料の支給を受ける者がいないときは、埋葬を行った者)

○遺族基礎年金
支給対象者・・・被保険者と生計維持関係にあった子のある配偶者、又は子
※支給対象者が夫の場合は、妻がH26年4月以降の死亡に限ります。

○遺族厚生年金
支給対象者・・・被保険者と生計維持関係にあった配偶者、子、父母、孫、祖父母
※支給対象者には年収要件が、配偶者以外の人には年齢要件等があります。

(業務災害又は通勤災害の場合)
○遺族(補償)年金
支給対象者・・・労働者の死亡の当時、生計維持関係にあった配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
※妻以外の人には年齢要件等があります。厚生年金、国民年金と併給されます。

○遺族(補償)一時金
支給対象者・・・遺族補償年金の支給要件を満たさない一定範囲の遺族

○葬祭料(葬祭給付)
支給対象者・・・葬祭を行う遺族
※健康保険の埋葬料(費)の請求はできません。


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